
昨日はタイガーマスク基金の勉強会。今回のテーマは「虐待の家庭的背景と地域での子育て支援」でした。
参加者は60名を超え、過去最高を記録。男:女比は54:46でした。
参加された方は一般の会社員、小さい子を育児中の母親、学生、助産師、保育士、デザイナー、カメラマン、行政書士、児童養護施設、子ども家庭支援センターの職員など今回も多様なメンバーが集い、これがタイガー勉強会の特徴でもあります。
スピーカーはまず厚生労働省から児童福祉専門官の川松亮さん。
国の方針というわけでなく、かつて都の児童相談所でも勤務されていた経験から「現場で感じたこと」、現場にいた者だからこそ気づいた「考えなければいけないこと」を中心にお話いただきました。
①子ども虐待の現状
②子どもの虐待を視る視点について(虐待の背景として多くみられる家族の情況)
③子どもの虐待と貧困・社会的孤立との相関関係(複合的困難の存在、社会的孤立、地域における社会資源の不足、子どもの学習、文化的環境の乏しさ、「非行」などの課題を抱える子どもたちの実像)
④対策として必要なこと(貧困に対する社会的施策の充実、親子を援助する地域の社会資源を豊富化する必要性、子どもの学習の保障・社会的経験の充足、子どもの発達に対する適切なケアー、教育と福祉・保健と福祉の連携、精神障がいに対するケアー充実)
など。そして最後に「つながりの貧困から、つながりの回復へ」というテーマで、地域や福祉関係者の連携を強く訴えていました。
小地域エリアの中で気軽に立ち寄れる子育て支援の拠点やネットワークづくりこそが大事。つながりにくい人への働きかけ「おせっかい」こそが虐待を未然に防ぐことになる。また支援者も希望を語り合えるような場が必要だ、強調されていました。

そして第2部は、この3月に公務員(宮崎県庁)を辞めて「児童虐待防止」を訴えて、5月5日から日本一周マラソンに挑む甲斐英幸さんが登壇。宮崎からわざわざお越しいただきました。
甲斐さんも児童養護の最前線で働かれていた経験から、いかに今の日本には「子どもを守るシステムが弱いか」ということをしきりに訴えていました。
でもそれを変えるには児童相談所や施設だけでなく、一般の人たちに子ども虐待という恐ろしい現実を知ってもらいたいと考え「耳目を引くために、日本一周マラソンにチャレンジするのだ」、というアピールしていました。
聞いている参加者も、甲斐さんのロックな迫力と迸る情熱に感じることが多かった様子でした

★甲斐さんのチャレンジに関する詳細はこちらをご覧ください⇒ http://tigermask-fund.seesaa.net/article/354372061.html
その後は恒例のグループトーク。
昨夜は人数が多かったので6チームに分かれて話し合いました。
「それぞれの思い」や支援へのアクションプランを語っていただきました。

懇親会にて。勉強会で集まった甲斐さんへのカンパ(支援金)を手渡しました

<参加者の皆さんからの感想コメント>
・とても興味深い話が聞けてよかった。参加して良かった。
・支援者支援の必要性も感じた
・色々な場所で坂座真奈方々が、子どもたちについて、家族について真剣に考えていることを知り、自分のモチベーションを上げることができた。
・川松さんのお話がとても分かりやすかった。調査結果に基づく報告は勉強になりました。
・講師のお話が大変参考になり、刺激になりました。
・地域密着の活動を行っている活動を上手に使い、更なる「おせっかい」を推進したい。
・地域の行政や子育て支援団体、商店街などと「連携」していくことで、子育てに悩んでいる親を支援していきたい。
・現場で働く方の生のご意見を伺う貴重な時間となった。
・少しですが、自分がどこで関われるか、具体的に思い描く機会となりました。
・地域の「おせっかいおばさん」になり、増殖させたいです。
・虐待の背景、つながりの大切さがよく分かりました。
・甲斐さんの「マラソンと虐待って何の関係があるの?、それでいいんです。」という言葉が心に残った。何より知ることが大事。
・もっと私のような普通の会社員、主婦が参加するようになると良いと思います。地域の一員として動かなければならないのは私たちですから。
・講師のお二人の自身の仕事を通して、この課題への思いが伝わってきて、課題の深刻さが分かった。
・グループセッションでの話し合いもとても良かった。
・大変面白かった。甲斐さんのロックな生き方に感動した。「10年後もこのままでは変わらない」という言葉にドキッとしました。しびれました。
・「連携」ということの大切さを強く感じた。
・様々なアプローチで自分たちの出来ることをしていくことが大切なのだと思った。
・切羽つまった状況を切実に感じた。
・人とうまく接することができるかどうかがカギになると感じた。
・大変勉強になった。地域の希薄化を如実に感じ、なんとかしたいと思っています。
・正直なところ、児童福祉の問題は根深く、悲観的にとらえていたこともあったが、できることはあると分かったので、何かしらの形で関わっていければと思った。
・10代である次世代の自分たちも希望が持てる社会になればよいなと思います。
・沢山の方が参加していてびっくりした。男性の数も多く、とても素晴らしいことだと思いました。
・地域が支えていくこと、友人とのつながりが重要だということが理解でき、支援できる点があるそうだと感じさせられた。
・甲斐さんのアツイ思い・実行力、ステキだと思いました。
・甲斐さんの熱い想いに感動した。
・民間でできることをカタチにしていこうと思います。またよろしくお願いします。
・大変示唆に富んだ内容だった。
・甲斐さんに頑張ってほしい。
・国や自治体のしくみを整えなくてはムズカシイということは常々思っているが、実際そこに頼るのは、コストや人員配置の問題から難しいのでは?と思うため、そこをまかなうことができるようなNPOなどの社会貢献の形で考えたいので、補助金などについて考えたいと思った。
・児童相談所へ行く前に、地域で気付き、救える社会にならないと。
・自分が思っていた実態よりも根深いものであると感じた。
・現場に携わってこられた方々の生の声で知らせていただき本当に勉強になった。社内にも広く配信させていただきます。
・信念を持っている人の話はすごく心に響きます。淡々と話されているのにこみあげてくるものがありました。
・「知っているつもり」が一番よくないと改めて思った。
・今回はセンセーショナルな話題があったわけではないが、現場のリアルを知っている人の話は積極的に聞くべきだし、聞くための場を増やす必要があるなと思いました。ありがとうございました。
・つながりの回復へ。普段の生活の中でやれることをやっていきたいと思う。
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